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2026/06/14  [PR]
 

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 「たといそれらのうちで最も望まれていたものが実現されるとしても、残りのものは犠牲にされねばならず、したがってわれわれは多くのものを失ってしまうこ とになるだろう。それでも、無限の可能性でふくれ上がった未来の観念は、未来そのものよりもいっそう豊かであり、そしてこれこそ、所有よりも希望に、現実 よりも夢に、よりいっそうの魅力が見いだされる理由である。」

ベルクソン 『時間と自由』ー「深い感情」より




原 将人『マテリアル&メモリーズ』
http://www.co2ex.org/2009jyouei/tokubetsu.html#05

過去の上映
http://old02.n-eigajyuku.com/cinebang/cinevan000701.htm
(新潟で行われた映画祭)

先日は梅田に原 将人『マテリアル&メモリーズ』を観にいくことができた。
長いこと噂でしか聞くことができずに半ば伝説と化していた彼の作品上映を、まさか大阪で観ることができるようになるとは夢にも思っていなかった。
今回の上映を企画し、見事に成功させたCO2の方々にここで感謝したい。
ありがとうございました。

自分にとって特別な意味をもつ監督の、ほんとうに、まったく長いこと待ちわびていた上映会だっただけに、まるでその「待っている」時間すら彼の映 画の一部分であったかのような錯覚をおこすほど、まちがいなくここ数年でもっとも衝撃をうけた、おどろくほど自由でエモーショナルな映画的時間の体験だっ た。

けれどもほとんどこの「時間」を語るための言葉が、いまもって自分のなかに見当たらない。まるで、彼の頭の内部にひらかれた映画館の客席で、彼自 身が何度も見続けているだろう夢のような記憶のフラグメンツをともに見守っているような感覚だ。映し出されるイメージに合わせてピアノを弾きながら、とき おり思いついたように歌い、しゃべる原監督の口調はときにたどたどしく、ときに涙で声がつまって、まるで、たったいま話しながらそこに映された日のことを 思い出したかのようだ。まるで、この空間全体があの日の記憶にすっぽりと入り込んでしまったかのようだ。やがてそこに映し出されたものが、自分自身の記憶 であったかのような気がしはじめた。いや、正確にはそうではない。とてもよく似た風景や、あの光のことを、ぼくたちもきっとこれまでに見てきたのだ。あれ が、もしかしたらいつかのぼくら自身の記憶でないと、だれが言いきれるだろう?ここに光はひらかれている。光を見つめるぼくたちそれぞれにひらかれてい る。それにしても、なんという懐かしさなのだろう、なんというあたたかなまなざしなのだろう。

こんなことは、これまで観てきたどんな映画にも感じたことのない印象であり、まったくオリジナルな時間としかいいようがない。気がつくと涙でかす んだスクリーンの光はすこしずつ弱まり、消えかかっていて、「ああ、もう映画は終わってしまうんだな」という思いがこみ上げてきて胸がいっぱいになった。
誤解をおそれずに言えば、この映画のまえですべての映画は、自らのその実験性を問い直さずにはいられないだろう。けれども、それはまぎれもなく映画という表現の可能性をめぐる、ひとつの希望なのだと思う。



開演とともに、ベルクソンの『物質と記憶』から今回の作品のタイトルをひらめいたことを明かしながらドゥルーズの『シネマ1・2』を引用した原監 督は、しかしそれを評論家の難解な表現論によるものとしてではなく、むしろすでにして自らが撮ってしまった一連の作品における理解を客観的に深め考察する ためのものだったように思われた。

彼は「現在の映画は、逆らうことのできない単一の時間の流れに支配されていて、ぼくらのイメージはそのなかで本来の自由さを失っている」という。 「三つのスクリーン」はそのためにあり、そこに映し出された映像は「ひらかれたイメージ」として観るものに受け止められるはずだと話してくれた。

今回の上映をきっかけに、『マテリアル&メモリーズ』をひっさげて、原将人は全国を巡回するつもりだという。映画の内容のついて、詳しいことはここでは何も語らない。語れることなど、ほんとうは何もない。
ただ、それぞれの足でそこへ行き、その目でそれを観てほしい。


映画とともに歌われている音楽がCDで出版された。
これだけでもまったく別の価値をもつだろう奇盤である。


http://bp.cocolog-nifty.com/bp/2006/05/_towerjp_1785.html

映画+小説 『初国知所之天皇』 はつくにしらすめらみこと
http://page16.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u25285713

オークションで発見。
『初国』のシナリオとしても読むことができる。絶版で数も少ないが、まだ見ぬイメージへのあこがれに満ち満ちていて、勇気づけられる。






以下は自分のためのメモなので読まなくてもいいです。


いかなる概念にも先行して、物質としての「フィルム」がまずここにあるということ。そしてそれが、過去の自分が未来に向けて残した現在の記憶であり、同時にあらゆる未来の思考を待ち受けて、絶えず待機し続けている不断に持続された時間をその内部に保有していること。

意識上に漂流する直接的な記憶ではなく、外部に転写された物質としてのフィルムは、様々な外的時間の変化にさらされながら、痛み、傷つき、ある場 合には損失されるだろう。けれどもそこには、決して損なわれることのない何かが隠されていて、逆説的にそれこそがぼくたちの生存にとって、もっとも大切な
ものが何であるのかを明らかにする。そうすること以外にはいかようにも考えることのできない対象としての、ぼくたち自身の記憶の正体をめぐる秘 密が、そこには隠されている。過去。決して変わるはずのない、しかし、変わりうる可能性を無限にはらんだ希望としての未来を創造する、過去。
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